2016年の日本の平均気温は、1891年統計開始以降過去最高気温を記録しました。 近年の高温化に伴い、外来の生物が国土に定着、人々の暮らしを脅かすことが増えてきました。クモや昆虫では、咬まれるとまれに全身症状にも及ぶ毒クモ「セアカゴケグモ」、生態系をいちじるしく損なう「アルゼンチンアリ」、そして昨年代々木公園で生息が確認され、デング熱を発症させた「ヒトスジシマカ」等です。それらは地方、都心を問わず住宅地でも確認されています。

ヒトスジシマカが媒介する病気

ヒトスジシマカ -世界の侵略的外来種ワースト100

ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)とは

普通はやぶ蚊と呼ばれています。
デング熱の媒介生物として昨年ニュースで取り上げられました。
アカイエカと並んで犬の病気フィラリアを発症させる犬糸状虫の中間宿主でもあります。 もともと熱帯性の蚊ですが、貿易で人に運ばれ移動し、現在、温帯、亜寒帯にも生息しています。

 

ヒトスジシマカは空き缶の中の少しの水でも産卵します。 春から秋までは卵は約1週間で孵化してボウフラになり、成虫で約1ヶ月生きます。
ヒトスジシマカで特徴的なのは黒地に白の縞模様と、卵での越冬です。
水の中に産み落とされた卵は、産卵後24時間その水が干上がらなければ、水の無い乾いた冬の間でも卵の状態で生き続けます。そして、春になり、たまたま卵が水を得られれば、そこで長い眠りから覚めてボウフラになります。 ヒトスジシマカはもともと乾季のある熱帯の出身のなので、卵は乾燥にも強いのです。


ヒトスジシマカの成虫は早朝、昼から夕方に掛けて活動します。
夏の午後、戸外で痒いなと思って腕を見たら、黒に白いスジの柄がやけにはっきりした蚊が血を吸っていた、などということがありませんか。あれがヒトスジシマカのメスです。*

*羽化数日後から白い部分は薄れ、黒く見えるようになるので注意が必要です。

どこにいるの?なぜ人の血を吸うの?

ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)は人家の庭の日陰、公園の木陰、墓地など湿度の高い水のある場所に潜んでいます。
人や動物の血を吸うのは交尾を終えたメスで、産卵に備えた栄養補給にタンパク質の豊富な人や動物の血が不可欠だからです。ヒトスジシマカは4月から11月ごろまで常に交尾と産卵を繰り返します。

私たちにできるヒトスジシマカ(ヤブ蚊)対策

ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)の活動範囲は50~100メートル程度で遠くへは飛びません。 発生源周辺で人を刺すことが多いので、まずは身の回りからボウフラを発生させない、発生しても羽化させない環境をつくりましょう。
ペットも被害にあいます。犬小屋周辺も気をつけましょう。
ボウフラは水たまりの中の微生物を餌として育つので、家の周りに水がたまったままの発泡スチロールケースや空き缶、空き瓶などがあれば水を切って回収するようにします。また、植木鉢の受け皿なども点検し水がたまっていたら都度捨てるようにします。

雨水舛のボウフラ対策

住宅地でヒトスジシマカ(ヤブ蚊)に一番好まれる場所は雨水舛の中、枯れ葉が堆積しているグレーチングの下です。 雨水舛やグレーチングに網戸の網をセットしてヒトスジシマカの成虫が外に出るのを防ぐことができます。
枯れ葉などがあると微生物が繁殖しボウフラの餌になるので、餌を断つために定期的な清掃が効果的です。

注意

雨水舛や道路の側溝は河川につながっています。
噴霧型の殺虫剤は、噴霧すると害虫を殺すことができますが、空気中に殺虫成分が漂うので、害虫以外の虫や魚類などにも影響をもたらします。
殺虫成分を空気中に漂わせない、噴霧しない方法での防虫には、ARINIX®(アリニックス)をおすすめします。

側溝のグレーチングがある部分に網戸の網を張るとボウフラが羽化しても出られません。

金魚やメダカはボウフラをたくさん食べます。上手に飼育すると手間要らずの擬似生態系を作ることができます。 魚毒性のある家庭用殺虫剤の戸外での散布は十分注意しましょう。

ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)を媒介とする病気 デング熱

デング熱の症状

デング熱ウイルスを持っているヒトスジシマカ(ヤブ蚊)に刺されてから発症までの平均的潜伏期間は3~7日です。突然の高熱や頭痛、関節の痛み、目の奥の痛み等の症状が見られます。発熱から3~4日後に体幹に発疹が現われ次第に四肢に広がります。

デング熱ウイルスを持っているヒトスジシマカに刺され、デング熱に罹る人の割合は1割から5割です。
治療法は、痛みと発熱に対してのアスピリンの投与は、出血傾向増悪やライ症候群発症の可能性があるので禁忌です。(厚生労働省「デング熱に関するQ&A」より引用)としています。
デング熱にワクチンはありません。

デング出血熱 -デングショック症候群

デングウイルスは日本脳炎などと同じフラビウイルス科(同属) に属し、4つの血清型(1・2・3・4型)があります。感染した型のウイルスには免疫を得ることができます。
ただし、一度デング熱ウイルスを持った蚊に刺された人が再び違う血清型のデング熱ウイルスを持った蚊に刺されると、「デング出血熱」を発症する確立が高くなります。
「デング出血熱」は、原因は同じデングウイルスですが症状は重く、デング熱の症状である熱が下がり始めたころ(2から7日後)、循環障害と出血傾向により、消化管出血・呼吸困難などを呈しショック状態に陥ることがあります。適切な治療を受けない場合は死亡する可能性もあります。(東京都感染症情報センター「デング熱 Dengue fever」より引用)

デング熱の感染方法

デング熱に感染した人の血を吸った蚊(ヒトスジシマカ)が他の人の血を吸うことで感染が広がります。
デング熱は人から人へは感染しません。

デング熱に罹った人の数

平成26年8月27日~10月31日厚生労働省公表では計161人です。

デング熱に罹った人の推定感染地

2014年デング熱に罹った人の、ヒトスジシマカに刺された推定感染地は、東京都の公園が多く、中でも代々木公園が圧倒的です。
全国161名 うち都内で105名が発症。
代々木公園に「行った」「周辺に行った」「周辺を通った」人の数は140名です。
新宿中央公園は11人、ほかに青山公園、外濠公園、墨田公園、上野公園、宮下公園が数名~1名で、千葉市、西宮市で各1名がデング熱に罹っています。

ヒトスジシマカ(ヤブ蚊)が媒介する病気 ジカ熱

WHOが「国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態」を宣言

ネッタイシマカ、ヒトスジシマカが媒介する「ジカ熱」が流行しています。 流行している国や地域で、ジカ熱の感染後に神経疾患(ギラン・バレー症候群)の集団発生や小頭症の新生児が増加しているため、WHOは国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態を宣言しました(2016.2.1)。それを受け、厚生労働省はジカ熱を感染症法の4類感染症(デング熱もこれに含まれます)に追加し、感染者が見つかった場合、医師から国に届け出るよう義務付ける予定です(2016.2.2)。 ジカ熱は、2015年から中南米を中心に急速に流行し今では20カ国以上で感染例が認められています(2016.2.1現在)。流行のある国や地域への渡航は十分注意が必要です。

ジカ熱の日本での発症例

ジカ熱は、日本では2014年に、渡航先のボラボラ島、サムイ島で蚊に刺され帰国後発症した3例がありますが、2016年2月1日現在、国内での感染発症例はありません。

ジカ熱の感染経路

ジカ熱に感染した人の血を吸った蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)が他の人の血を吸うことで感染が広がります。性交渉や輸血で人から人に感染する疑いがあるとの報告もされています。

ジカ熱の症状と治療

ジカ熱は、患者からジカウイルスの遺伝子または抗体を検出することで診断されます。 ジカ熱ウイルスに感染してから発症までの平均的潜伏期間は2~7日と(3~12日とも、数日とも)いわれています。症状は、軽い発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感、頭痛などです。治療は十分な休養と水分補給、通常の解熱鎮痛薬で対処できます。 ワクチンはまだありません。 また、発症すると合併症としてまれにギランバレー症を発症することがあり、 逆に、軽度なため発症しても症状に気づかない場合もあります。不顕性感染率は約80% (国立感染症研究所)

ジカ熱の小頭症とのかかわり

ジカ熱の症状は1週間ほどで治まり、重いものではありませんし、発症せず無自覚の場合もあります。ですが、ジカ熱のやっかいなところは、妊娠初期の妊婦かジカウイルスに感染すると、母体から胎児へ感染し、胎児の小頭症を招く疑いがあることです。メカニズムが解明されていませんが、ジカ熱の発生の多いブラジルで小頭症の新生児が増えていることが確認されています。国立感染症研究所は妊婦あるいは妊娠の可能性のある女性はジカ熱流行地への渡航を避けることが望ましい としています。

ジカ熱にかからないようにするために

2016年2月1日現在、日本国内で発症した例はまだありません。 ネッタイシマカは1970年以降日本での定着は確認されていませんが、ヒトスジシマカは日本で良く見かけるヤブ蚊のことです。蚊に刺されないよう肌の露出を避け、長袖を着用し、蚊のいる場所には近づかないことを心がけます。また、ボウフラや卵の育ちにくい環境を整えるなど蚊の発生を予防します。

代々木公園の駆除作業で使用されたエトフェンプロックス

代々木公園の駆除作業で使用された薬剤エトフェンプロックスは従来のピレスロイドと同じく昆虫類に高い効果を発揮する成分ですが、人や動物にきわめて影響が少なく、また魚毒性も低いため、世界保健機関WHOでは、リスクレベルが一番低いランクに分類されている環境に配慮された薬剤です。

エトフェンプロックスは、デング熱の発生という事態に、抵抗力の弱い人、幼児、高齢者などさまざまな人の訪れる公園の駆除作業で使用する薬剤として最適です。

薬剤は過去の実地試験等を踏まえ、有効成分としてエトフェンプロックスを使用(水性 剤。100 倍希釈)。

東京都の依頼による半径約 75mを立入禁止としての駆除作業及び写真(c):公益社団法人 日本ペストコントロール協会

また、エトフェンプロックスは、ジカ熱を感染させるネッタイシマカにも有効で東南アジアや南米で成果を挙げています。


参考資料及び出典(敬称略)(リンク先は別ページで表示されます)
出典:厚生労働省ホームページ 
デング熱の国内感染症例について(第三十八報)「デング熱国内感染患者 現時点での疫学情報のまとめ」http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20141031-01.pdf 
デング熱について http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dengue_fever.html
デング熱に関するQ&A http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dengue_fever_qa.html
を元に株式会社ニックスが作成
公益社団法人 日本ペストコントロール協会事務局: デング熱国内発生に係る蚊の駆除作業について(速報:概要)
今井長兵衛:twitter (2014年秋)
外務省 「各論3 デング熱」http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/kakuron03.htm
東京都感染症情報センター「デング熱 Dengue fever」http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/dengue/
BSI生物科学研究所「衛生昆虫の微細構造について 第 3 章 カ 」 http://bsikagaku.jp/insect/mosquito.pdf
厚生労働省「ジカ熱について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000109881.html
検疫所(FORTH)海外感染症情報
http://www.forth.go.jp/topics/fragment5.html
一般社団法人日本感染症学会
http://www.kansensho.or.jp/mosquito/medical_list.html
国立国際医療研究センター ジカ熱
http://www.dcc-ncgm.info/topic/topic-%E3%82%B8%E3%82%AB%E7%86%B1/
在メキシコ日本大使館・在パラグアイ日本大使館・外務省海外安全ホームページ

過度な薬剤散布の環境破壊を見直す次世代の防虫方法ARINIX®

「虫のイヤがる網」や「バグバンパー」でおなじみのARINIX®(アリニックス)は、人やペットにとって安全性が高く、魚毒性もたいへん低いエトフェンプロックスを有効成分としています。
ARINIX®(アリニックス)は、さまざまな有効成分を プラスチックに練りこみ、長期にわたりじわじわと少しずつ滲み出させる方法で、生物の多様性を守りながら危険害虫の人への被害を抑えます。

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